今年で第22回になる戊辰役東軍殉難者慰霊祭は、京都淀の妙教寺にて行われた。
慰霊祭の式次第は以下の通り
1400 慰霊祭 於本堂
祭文奉読 井上雅雄氏(新選組井上源三郎ご子孫)
読経 妙教寺緇素一結
焼香 一同
感謝状贈呈 (㈱)大与様へ
1450 記念講演 於客殿
「古地図でたどる鳥羽伏見淀の激戦」松井遠妙師
1600 紙芝居「淀の歴史」 淀みず車会
1630 奉納演武 於境内
天然理心流九代目宗家宮川清蔵氏(近藤勇五代目ご子孫)
天然理心流勇武館副会長 井上雅雄氏
1800 懇親会 於吞龍
2000 解散
このお寺の境内には、子爵榎本武揚揮毫の「戊辰之役東軍戦死者之碑」が建っている。
明治40年、京都十七日会による建立で、側面に、「戦死者埋骨地三所一在下鳥羽村悲願寺墓地一納所村愛宕茶屋堤防一八番楳木」とある。
妙教寺のご住職は代々毎年2月4日に、愛宕茶屋堤防と八番楳木(千両松)にて慰霊を行い、本堂にて法要を営んで来られた。
愛宕茶屋堤防の埋骨碑
八番楳木の埋骨碑
妙教寺を含むこの一帯は、淀殿が暮らしたことでも知られる旧淀城があった場所で、大河ドラマ「軍師 官兵衛」でも、タイミングよく今回の慰霊祭挙行の直前の放送でこのお寺が紹介されていた。
このお寺は、また、戊辰戦争の際に築90年ほどの本堂に砲弾が着弾し、貫通した柱が当時のまま残っていることでもよく知られている。お寺ではその飛び込んだ砲弾も大事に保存されておられる。
砲弾が飛び込んだ様子(紙芝居「淀の歴史」から)
ご住職の講演では、この砲弾は旧幕府側のもので、
慶應4年1月4日、伏見街道から砲2門で薩長軍を猛射し薩長を下鳥羽付近まで退却させた、会津藩白井五郎隊の砲弾ではないかと推論されていた。
砲弾が飛び込んできた壁、今はガラスが嵌められている
砲弾が貫通した柱
その時の砲弾
さて肝心の慰霊祭の様子
玄関を入って、右の本堂にて慰霊祭、左の客殿にて講演会が行われた。
慰霊祭は、祭文奉読から始まった。
祭文奉読者は、淀にゆかりの新選組井上源三郎のご子孫・井上雅雄氏です。
井上源三郎は、慶應4年5日淀・八番楳木(千両松)にて戦死している。
このあと、
ご住職と妙教寺緇素一結による、妙法蓮華経・方便品第二と如来壽量品第十六の読経の中で、参加者全員による焼香が行われました。
焼香のあとは、八番楳木(千両松)の墓所の土地を墓所保全のため寄贈された(㈱)大与様への感謝状贈呈
慰霊祭のあとの講演は、会場の客殿が一杯で、資料も後追いでコピーするほどの盛況
記念講演は、妙教寺ご住職・松井遠妙師により、
「古絵図でだどる鳥羽伏見・淀の激戦」との題で、
1.両軍の陣容、
2.開戦前夜状況
3.戦闘状況(慶應4年1月2日~6日まで)
4.慰霊祭の歴史
5.淀住人の証言記録
につき詳細に語られた。
1.~3.戦闘前後の状況については、野口武彦「鳥羽伏見の戦い」、京都連隊区将校団「郷土戦史」を参考とされたと話されていました。
また、地元京都での東軍慰霊祭の歴史として、明治30年に初めて三十年祭が大々的に挙行されたことにも触れられた。
講演の後は、地元の人が作成した紙芝居「淀の歴史」
30枚弱の絵を使い、なかなか簡潔に淀の歴史が理解できるように工夫されておられた。
個人的には、ケンペルが長崎から江戸へ向かう途中の、淀での行列を描いた様子に興味をもちました。
この行列に、遠い縁者の今村源右衛門英生が同行しているはずなので・・
英生は、1690年、20歳でドイツ人医師ケンペルに師事し、鎖国下において日本に関する情報収集という法律違反の手伝いをする。2年に及ぶ奉仕の結果、抜群の語学力と医学・薬学、博物学の知識を獲得する。
この英生の献身によって、ケンペルの名著「日本誌」が後に生まれる。後世に多大な影響を与えたこの本は、日本来航の前にペリーも熟読したことで知られている。
長崎にある今村英生のお墓
戊辰役東軍殉難者慰霊祭の終わりにあたって、演武が奉納された。
天然理心流九代目宗家・近藤勇五代目子孫 宮川清蔵氏、
天然理心流勇武館副会長・井上源三郎五代目子孫 井上雅雄氏
を始め、天然理心流を学ぶ一門の方々による演武.。
なかなか見る機会がないので、大変参考になりました。
最後に、「戊辰之役東軍戦死者之碑」の前にて関係縁者の記念撮影
左から
井上源三郎五代目子孫 井上雅雄氏
榎本武揚曾孫・榎本隆充氏
妙教寺ご住職・松井遠妙師
近藤勇五代目子孫 宮川清蔵氏
土方歳三子孫 土方愛さん
懇親会は、近くの中華料理店・吞龍にて
40人前後の方々が参加されました。
名前を知っていても初めてお会いする方も多く、楽しい会でした。
慰霊祭を企画し実行された方々には準備などご苦労が多かったと思います。
久しぶりの京都での立派な慰霊祭でした。どうもありがとうございます。
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