傑物・学者

史書を訪ねて 漂巽紀畧

今週の史書を訪ねては、幕末の日本人として稀有な体験をし、当時最先端の西洋を見聞してきた土佐の中濱万次郎(ジョン万次郎)の口述筆記、「漂巽紀畧」。 内容は、 ジョン万次郎らが天保12年(1841)に漂流してから、米国船に救助されて渡米、約11年後の嘉…

西郷の硯

ある硯が気になっている。 三吉慎蔵が西郷吉之助に贈った赤間関硯で、今は酒田の荘内南洲会が所蔵している。 月に波上のうさぎが刻されている。よく使われた跡がみてとれる。 慎蔵が西郷に贈ったことは記録が残っている。 『三吉慎蔵日記』に、 「(慶応2年…

適塾の謎

先日たまたま適塾の前を通った。去年の大阪北部地震による災害復旧工事のため開館していなかった。適塾はいつもこのアングルからの撮影が多い。 思えば、ぼくと適塾との付き合いは長い。 半世紀前になるが、1970年に勤め始めた会社の本社近くに旧瓦町適塾が…

徳川慶喜の筆「誠」

先日、徳川慶喜の書いた「誠」の書が 広辞苑編者の新村出旧宅で発見されたと報道された。新村出の養父猛雄は慶喜に仕えていたため、新村家で受け継がれたと考えられる。 「誠」は、慶喜にとってはまことに身近な文字だったのではないだろうか (新村出記念財…