2021-01-01から1年間の記事一覧

東京を整備した山尾庸三

東京築地にある「訓盲院発祥の地」碑からの連想。 明治になってから洋風の建造物が作られていくが、初期の建築には幕末に活躍した人物の名がよく出てくる。 訓盲院の建築は、お雇い英人のジョサイア・コンドルの設計になるが、以下の経過をたどった。 明治8…

三吉慎蔵についての間違い

最近、三吉慎蔵についての投稿をよく目にします。 先日も、 「江戸時代、幕末の日本で坂本龍馬を護衛した凄腕の槍術使い『三吉慎蔵』とは」との題で、Japaaanマガジンの記事を眼にしました。 Japaaanマガジンの幕末関係記事はあまりにも誤りが多いので読まな…

いろは丸事件

三吉慎蔵宛ての長府藩士・印藤聿の書簡がある。 「坂本先生が今朝、下関に帰ってきたそうです。 夕刻までには出帆し、上方へ登るとのこと、伊藤九三より申してきました。 龍馬のために大小(本差と脇差)を送るよう伝言がありました。 伊藤からの使いに持た…

戊辰戦争と多田郷士

多田郷士のいる兵庫県川西市の多田庄は源氏の発祥の地であり、僕の住んでいる宝塚から近い。祭神 祭神は清和天皇の曾孫源満仲、頼光、頼信、頼義、義家の五公。すなわち源氏の祖廟であり、源氏の発祥の地 ドラマ「銀一貫」で北摂津の寒天が有名になったが、…

ディアナ号は帆船のはずだが

だいぶ前になるが、京都維新を語る会の会合にて面白い史料を見せていただいた。 プチャーチンが嘉永6年(1853)7月に長崎に来航したときの絵がある。そこには、4隻の船と幕府役人やロシア使節が描かれている。 船の1隻はパルラーダ号で、ディアナ号と同型の…

吉村昭の『史実を歩く』

吉村昭の『史実を歩く』を繙き、「日本最初の英語教師」と「桜田門外ノ変」余話を読んだ。 『史実を歩く』には、小説を執筆するにあたっての自身の綿密な調査についての記述がある。 知らないことが実に多く書かれている。 「日本最初の英語教師」には、ラナ…

面白写真

古写真を拝見すると、当時の撮影方法が分かる場合がある。 ダゲレオタイプの写真は鏡と同じ写り方なので、 左右逆に映ることから撮影前に刀を右に差すなど十分準備をするのだけれど、写真の出来上がりの姿を考えていないケースが時々ある。 1枚目は、撮影準…

三吉慎蔵と江川塾

長府藩士三吉慎蔵は、幕末に2回江戸へ下っている。 その最初は、安政5年(1857)。 藩主毛利元周の参勤交代の先着として3月17日に江戸入りした。 そして翌年江戸を離れるまでは様々な事件が起きている。まだ政局の中心は江戸だった。 4月23日に井伊直弼が大老…

青天を衝け! 戊辰戦争へ

いよいよ日本では大政奉還後から戊辰戦争へと激動の時代に入っていく。 今回以降しばらくは、僕にとって身近な話が出てくるようだ。 慶応4年の鳥羽伏見の戦いでの敗戦を機に、徳川慶喜は松平容保など側近や幹部を連れて開陽丸にて江戸に帰る。 <慶喜が容保…

青天を衝け! ル・グランホテル

幕府役人が定宿にしたル・グラン 40歳になったとき、会社に申請して世界一周の旅をしたことがある。 まず、アメリカ西海岸に渡り、中西部、東海岸、カナダから大西洋を越え、イギリス、ドイツ、スイス、そして最後にフランスへと続いた。 3週間ほどの旅程で…

尊攘堂

尊攘堂は、京都大学構内と下関長府功山寺にある。 尊攘堂の造築に関わった人物としては、吉田松陰、品川弥二郎、桂弥一が挙げられる。 吉田松陰はかねて、京都に尊攘堂を建て勤皇の志士たちを祀ろうとしたが、刑死し果たせなかった。 この「尊攘堂」という言…

藤四郎のこと

史実ほど面白いものはない たとえば、福岡藩の幕末の動き。 蘭癖といわれた開明的な藩主黒田長溥の考えは、「開国し政権が変わなければ日本の未来はないが、幕府は潰さず、朝廷と合同しそのまま改革すべし」という保守的な立場をとっていた。 一方どこの藩に…

青天を衝け! 渋沢栄一京に上る

いよいよ尊攘派志士の栄一は八月十八日の政変直後に従兄の渋沢喜作と共に京都にやってくる。 攘夷派が衰退した京都での志士活動に行き詰まり、江戸遊学の頃に親しくなった一橋家家臣・平岡円四郎の推挙により一橋慶喜に仕えることになる。 そしてパリ万博に…

青天を衝け! 第3回目

「青天を衝け」3回目を拝見した。 いよいよペリー来航に伴い、高島秋帆が出獄した。 高島秋帆の活躍場面はこれからもあるのだろうか。 ところで、私事だが僕の住居は宝塚市で武庫川沿いに住んでいる。これまでの27回の引っ越しの中で、武庫川に面して住むの…

青天を衝け! 第3回目

「青天を衝け」3回目を拝見した。 いよいよペリー来航に伴い、高島秋帆が出獄した。 高島秋帆の活躍場面はこれからもあるのだろうか。 ところで、私事だが僕の住居は宝塚市で武庫川沿いに住んでいる。これまでの27回の引っ越しの中で、武庫川に面して住むの…

青天を衝け!

今回の大河ドラマ「青天を衝け」は史実に結構忠実ではないかと思う。 何しろ今までとちょっと違うのは、 時代考証は、井上潤(渋沢資料館館長)、斎藤洋一(戸定歴史館館長)、門松秀樹(慶応大学准教授)。 国旗考証は、国旗研究の第一人者と言われる吹浦忠…

摂海防御の絵図

一枚の絵図がある。 神戸六甲山系の摩耶山(標高702m)から摂海(大坂湾)を望んだ絵図だ。絵図の描かれ方から、摂海防御の拠点を明示していると考えてよい。 この絵図には文久3年4月26日との日付がある。誰が描いたものかわからない。 摩耶山は、大阪湾が一望…

太平記のなかの桃井直常

昨年から、南北朝期を大河ドラマで初めて描いた「太平記」を観ている。 初回放送は1991年1月6日から12月8日の期間に行われ、今回はコロナ禍の中、再放送された。 大河ドラマとしては、 100年続いた北条政権の専制や退廃した鎌倉幕府に対し、倒幕の挙兵をした…

2021年の予定

明けましておめでとうございます。 いつもであれば東京へ10回、その他日本各地に同じ頻度で出かけていたのですが、 昨年はコロナ禍で、遠出もせず自粛の1年に終わりました。 主に地元地域の活動にいそしみ、幕末史跡巡りもほとんで行っていないため幕末関係…