南禅寺金地院での東軍慰霊祭

東照宮のある京都南禅寺金地院での東軍慰霊祭は、 家康が亡くなった4月17日に因み、その直前の日曜日に行われる。 今日がその日なので参加してきた。
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鳥羽伏見の戦いのあと東軍将兵の慰霊は続けられていたが、30年後の明治30年に三十年忌が京都で大々的に行われた。 この時に、金地院東照宮脇、伏見奉行所跡そして下鳥羽・法伝寺門前の3カ所に慰霊碑が建立された。 金地院東照宮脇の「戊辰伏見鳥羽之役東軍戦死人追悼碑」 大谷派本願寺門主大谷光瑩が揮毫している
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奉行所跡の「戊辰東軍戦死者之碑」 (伏見町誌から) 上に、徳川の馬印の金扇が乗っている。字は、榎本武揚の書
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法伝寺門前脇の 「戊辰東軍戦死之碑」 空海の書法を究めた名筆家として知られた宮小路康文の揮毫
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三十年祭では、、戦死した将兵の霊名簿が作成され、ともに東照宮のある伏見御香宮南禅寺金地院に奉納された。 法伝寺の霊名簿は独自に作成され、鳥羽伏見だけでなく戊辰戦争での戦死者の霊名が含まれているが、鳥羽伏見関係をみると何故か金地院や御香宮の霊名簿の人数のおよそ半数しか掲載されていない。御香宮南禅寺金地院の霊名簿は時代が大正になっても改定されたが、法伝寺のものは改定されてこなかったようだ。 伏見奉行所跡では、徳川の馬印の金色の扇を碑の先頭に掲げる慰霊碑の前で、代々御香宮宮司が慰霊祭を行ってきたが、終戦後は行われなくなってしまった。 これは、たとえば下関に潜居していた中山忠光公が暗殺され一旦埋められた夜打峠(よいちがたお)において、地元民によって忠光公の慰霊祭が行われてきたが、戦後になって廃れてしまった。それと同じ様な意味合いではないかと思っている。 そして慰霊祭が行われなくなった慰霊碑は、昭和36年頃に国道24号線拡張工事を行う際に、取り壊され、石は地権者により売却された。 この奉行所跡の慰霊碑を、地元の人はこの徳川の扇の馬印から「扇の塔」と呼んでいたという。 この徳川馬印の扇は、金色は殆ど剥げてはいるが、今は金地院に大事に保管されている。
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法伝寺では、毎年8月初旬に地元下鳥羽の人たちによって今でも法要が行われている。有り難いことだ。 城南会は鳥羽伏見の戦いの東軍の遺族で組織した会だが、金地院東照宮にて毎年慰霊祭を主催してきた。
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しかし近年参加者も減り、今年は5人だった。現在の中心人物がいなくなると城南会は自然消滅し、慰霊祭の主催者がいなくなるおそれが現実化しつつある。3年後は150年忌になる。何とかしたいものだ。 慰霊祭に参加し、金地院内東照宮傍らの「戊辰伏見鳥羽之役東軍戦死人追悼碑」に参ったあと、 以前から気になっていたので、旧伏見奉行所跡地に建立され今は撤去されている「戊辰東軍戦死者之碑」のあった場所の確定に出かけた。碑は、明治40年に行われた四十年祭の報告書では旧道(今の国道24号線)の東側に図示されている。 四十年祭の報告書
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三十年祭と四十年祭の建碑を図示したもの 真ん中下に、「記念碑」と表示され「戊辰東軍戦死者之碑」が示されている
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昭和36年ころに撤去されたとの事なのだが、このあたりは団地や新築の家が建ち、昭和のその頃を知る人は少ない。そこで、国道24号線沿いの古そうな家を訪ねた。 N野さん、T田さん、O野さんに確認し、場所は中学校グランド前辺りと分かったので、またその近所を訪ねる。 ここも回りは比較的新しい家が多いのだが、偶然にも「戊辰東軍戦死者之碑」を知っていそうな人を教えていただいた。 T田さん。歳は80を超えていると思われるが、話しているうちに本人も言っていたがだんだん記憶が蘇ってきたようだ。 碑のあった場所、碑を地元の人は「扇の塔」と呼んでいたこと、終戦後は碑の前でのお祓いをしなくなったこと、当時の細い地道のこと、道路拡張工事の具合い(50cmだけ敷地が減ったこと)、石碑の石は遺族が生活のため売却したこと、敷地の周りの石材はSさんが処分したこと、銘板「戊辰東軍戦死者之碑」は行方は分からないこと等々、貴重なお話を聞くことができた。 碑のあった場所。今は大阪ガスの所有地になっている
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碑のあった場所からは桃陵中学校のグランドに近い
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桃陵グランドから。右側ポールのすぐ左に碑のあった場所が見える。グランドには奉行所跡の碑がある。
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ただ、副碑(文は田邊太一)については存在を御存じではなかった。 今後はこの副碑について調べてみたいと思っている。 金地院にある明治40年に建立された副碑。刻まれた内容は、明治30年に建立された「戊辰東軍戦死者之碑」の傍らにあった副碑とほぼ同じ
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