「花燃ゆ」5月17日放送  長井雅楽

今回のドラマで気になったのはやはり長井雅楽のこと

画像

このドラマはとにかく展開が速いので、重要な事実の起承転結が省かれる。

航海遠略策にしても提言されあっという間に藩論となり、そして直ぐ(2週間後には)破約攘夷に置き換えられる。

長井雅楽や航海遠略策については、あまり理解できない筋書きだったのではないだろうか。

登場人物も多すぎるし、もう少し丁寧に描かれれば、観ている方も納得ができるのだが・・・・

さて、長井雅楽のこと

今回は国元萩にて謹慎になりこのままで次回は登場しないのかもしれない。

できれば、雅楽とその後についても触れてくれればよいのだが・・・

ドラマは文久2年(1862)12月英国公使館焼き討ちで終ったが、雅楽はこのあと2か月足らずで自刃することになる。

次回ではその場面はあるのだろうか?

今回は、

「惜しみなくお役を果たしたので悔いはない」ドラマでのこの雅楽の言葉は、松陰を幕府に突き出したことに対して言っているが、航海遠略策がついに藩論として否定されてしまったことに対して言ってもいるのだろう。

ただ、これから罪人ととして自刃になる事を予定しての言葉ではないはずだ。

文久3年(1863)2月6日の自宅での自刃に際しての辞世に、本来の雅楽の思いを見ることができる。

 〇今さらに何をか言わん代々を経し 君の恵みにむくふ身なれハ

 〇君か為め捨る命はおしからて たゝ思はるゝ国のゆくすゑ

 〇欲報君恩業未央、自羞四十五年狂、即今成仏非予意、願帥天魔輔国光

 (君恩に報いんとして業いまだ央ならず 自ら羞ず四十五年の狂 即今成仏は予が意に非らず 願わくは天魔を帥いて国光を輔けん)

「即今成仏は予が意に非らず」(今死ぬのは自分の意志ではない)と言い残しているのが、雅楽の本音であり、悔しさがにじみ出ている。

雅楽の航海遠略策は多くの人に影響を与え、5年後に成立する明治政府の政策とも重なるのだが、

影響を受けたと思われる二人の人物を揚げておこう。

一人は、坂本龍馬

龍馬は、文久3(1863)年5月に福井越前に出かける。

このとき、横井小楠の客寓にて三岡八郎と同席し、三岡によれば、龍馬は君が為の国歌を声調妙に高唱する。

 〇君が為捨つる命は惜しまねど 心にかかる国の行く末

  

これは龍馬の歌と言われる事もあるが、あきらかに雅楽の次の歌と極似している。

 〇君が為死する命は惜しからず 只思はるる国の行く末

龍馬の謡った歌は、自分の思想に影響を与えた航海遠略策の雅楽の死を悼み、3か月前に自刃した雅楽の伝え聞いた辞世の句を声調妙に謡ったのではないかと考えている。

またもう一人は、同じ長州人の大村益次郎

暗殺団に襲われ負傷した益次郎は、病床にて愛用の手帳に、雅楽の辞世の句を書いている。

 〇君が為死する命は惜しからず 只思はるる国の行く末

ただ単にこの時の益次郎の年齢が雅楽と同年齢だったから、書いたのではないだろう。

これからという時に、同じく無念の内に死んだ同郷の士を思い浮かべたからだけでもないだろう。

おそらく、益次郎はもともと雅楽の航海遠略策に共鳴していたのではないだろうか?

僕には、「大村益次郎先生小伝」(井上清介)では明治2年10月16日付けの三條宛て書簡を絶筆としているが、この辞世こそが益次郎の絶筆なのではないかと思えてくる。

「 人気blogランキング 」  に参加しました。よろしければ押してくださいませ。


幕末・明治時代(日本史)ランキング

絵は三吉慎蔵と坂本龍馬です

励みになりますので、できれば以下のバナーもどうぞ

にほんブログ村 歴史ブログ 幕末・明治維新へ
にほんブログ村