「世界津波の日」

昨日11月5日は「世界津波の日」だった。 和歌山県広川町の故事「稲むらの火」にちなんで制定された「世界津波の日」の5日、県内外各地で災害に備えた訓練があった、と各メディアで報道された。 この記念日の制定の経緯は以下の通り。 幕末の嘉永7年11月5日(1854年12月24日)に、安政南海地震が発生した。 この地震で発生した津波に対し、農村の長・濱口儀兵衛(梧陵)は的確な判断と実行で、自分の稲むらに火を付け村人の避難を誘導して、多くの人命を救う。この逸話を、来日した小泉八雲ラフカディオ・ハーン)は、明治29年(1896)に英語の作品で紹介する。 この小泉八雲の作品は、濱口儀兵衛らが地元に創設した耐久中学校の卒業生である中井常蔵が翻訳する。 そして、文部省の教材公募に入選し、地震の後の津波への警戒と早期避難の重要性、人命救助のための犠牲的精神の発揮として、昭和12年(1937)から10年間、国定国語教科書(国語読本)に掲載されることになる。 国定国語教科書への掲載には、関東大震災を予言したことで地震の神様と称された地震学者・今村明恒の尽力が大きかった。Akitsune_Imamura2.jpg 今村は、津波被害を防ぐには小学校時代からの教育が重要と考え、防災教材として「稲むらの火」を国定教科書へ掲載するよう訴えた。掲載が実現すると、昭和15年(1940)には『「稲むらの火」の教え方について』を著し、防災の教え方についても詳しく指導している。 時代は下って、2005年1月、インド洋大津波をうけて東南アジア諸国連合緊急首脳会議がジャカルタで開催された。 その際にシンガポールのリー・シェンロン首相が当時の小泉純一郎首相に「日本では小学校教科書に『稲むらの火』という話があって、子供の時から津波対策を教えているというが、事実ですか?」と尋ねた。 しかし、小泉純一郎はこの話を知らなかった。文部科学省に照会した際も、誰も知らない。日本では大方忘れられていたのである。 そして、2015年12月4日の国連総会第2委員会において、日本を含む142か国の提案により、この逸話のもととなった旧暦の11月5日を「世界津波の日」に制定することを全会一致で決定する。 「世界津波の日」の制定に、結果的に先祖縁者の今村明恒が関わっていることが喜ばしい。 今村明恒について詳しくは、 https://bakumatusanpo.seesaa.net/article/201109article_1.html 「 人気blogランキング 」  に参加しました。よろしければ押してくださいませ。
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