海王丸航海23日目 2010/04/28(水) 順風、西海岸に近づく
メインマストの破けた帆を再び取り換え、順風に乗り西海岸に近づく。
天気 晴れ
前日正午からの(直航進路081、距離196マイル、東京からの距離4769,残航354、平均8.77ノット)、
風向WNW、風力5、ヤード(帆桁)左舷開き、
天候晴れ、気温10.5、海水温度11.5、気圧1017.0、海面状態穏やか
船の位置 北緯39度47分、西経128度12分
時刻改正30分(累計-17時間00分)
0559 5時59分時点でのモニタ-
目的地と風向が反対で、風を斜め後ろから受けておりRunning状態。
順風で船足は10ノット
0640 朝別科
船体傾斜が少ないため椰子の実掃除を実施。
0800 当直 小生の当直当番は以下の通り
0800-0900 リーサイド待機
0900-1000 計器
1000-1100 リーサイド待機
1200-1200 リーサイド
北太平洋を航海してきて、殆ど船と出会わなかったが、本日は計器当番中に船が2隻、120マイル範囲のレーダに映った。当たり前の事だが、やはり陸地に近付くと港があるためか航行する船が急に増えてくる。
0900 破けた帆の取換作業
メインマストのアッパトップスルが破けているので、この帆を降ろし、新しい帆と取り換えて、展帆した。
帆布は200kの重さがある。デッキ上の各マストの両脇のハンドキャプスタンと呼ばれる手回し式のウインチ(巻き揚げ装置)を使って引き揚げる。
揚がった帆布をヤードへ広げる
帆布の上部のそれぞれの穴にロープを通し、ヤードに付属している鉄棒にくくりつけて、帆布を固定する
バンドライン、クリューラインなどを繋ぎ、ヤードを揚げて展帆する
実は、この破れた帆は使いものにならないので、後日、希望者は好きなだけ切り取って持って帰ることになる。帆の使用生地はエステル帆布#2、専用セール生地等である。
もちろん航海中に潮風に吹かれ多少汚れてはいるが、乗船し航海した時の海王丸の帆は記念にもなるので、小生もたっぷり頂戴した。まだズタ袋などに加工はしていない。
1004 10時4分のモニター
西海岸に沿う形でサンフランシスコ目指し南下中
1300 課業開始 自主研修
1400 イルカ発見の報で、甲板に上がる
船首部の周りでイルカ四頭が遊んでいる。
左舷側が波しぶきが強いのでその波しぶきと戯れている。航海でイルカを観るのは二度目だが、こんな近くで長く見たのは初めて。
海上へジャンプするイルカをカメラで撮影するのはなかなか難しい。タイミングが全く合わない。ビデオカメラでの撮影は問題ないので切り替えたが・・・・・。
従って残念ながら海中を泳ぎ、また海上をジャンプする写真は1枚も撮れなかった。
1730 本日2度目のイルカの遊泳を観る。
5~6頭が同時にジャンプする様子は素晴らしい。
西岸に近づいてきたためか、イルカが多く出現する。
いよいよ明日午前には北米大陸をランドフォールできそう。
英和辞典によれば、「landfal」は長い航海後の初の陸地発見の意味。
1860年3月17日公用方吉岡勇平は「亜行日記」に、
旧暦安政七年三月の条に、
「26日快晴 針路東南東半南 夫れより東小南に転す 暁卯刻(6時)船の左に当り遠山眉黛の如くなるを見る。即ち亜国の山なり」と書いた。
また航米日誌に曰く、
「(26日)9時、大艢(メインマスト)のトップに中黒長旗を引上げ、尚又スパンカーの斜桁(船尾)に国旗を掲げ、ジブを掲げる円材に摂津守殿旗章を掲ぐ」
船長のメッセージは以下の通り
約一週間早い陸地発見。カルフォルニア沖で時間を潰さず、すみやかにサンフランシスコ湾内に錨泊をする。
理由は以下の通り3点。
①今後の天気予想では、カルフィルニア沖はGW(強風警報海域)が発令されており、20m/secの嵐・5mを越える波高域となり帆走・機走・ドレークスワンでの仮泊いずれも運航上のリスクを伴うこと。
②帆走にてランドフォールした後の荒天航海は、乗組員・実習生・研修生の士気が下がること。
本日で帆走航海を残すところ、僅か1晩となった。
③早く入港で来たならば、今航海の目的である「咸臨丸航海150周年事業」に早く参加できるメリットがあること。
しかしながら、湾内錨泊はグレーウォーター排出規制のある米国において、その処理に高額な費用が科せられることを理解しながら、上記理由に適った有意義な錨泊の時間を過ごしたい。
本日の航海概要と気象概況
<気象概況>
①明朝4時と16時の天気図を比べると、午後の方が等圧線は混んでいる。
等圧線は横に並び、西高東低なので、北西の風になる。また午後から夕方、さらには明後日にかけてGW(強風警報海域)となるので、機走後はローリングの備え(東京出航日を想定しておけば十分)必要。
<航海概要>
①明朝の計画では、04時頃に陸岸から約50マイル、日出時には約30マイルとなり、そのころにはランドフォールできる見通し。
②その後、13時まで陸岸から15マイル程度離して帆走航海を進める。
③不慣れな海域のため、また、不測の事態に備えるため、機関部では朝から主機の暖気をする。
④15時には畳帆を開始し、機走を再開する。
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