座頭市

最近、数年前に録画した映画を見たり、昔の時代劇の再放送をTVで見ることが多い。

昨日は勝新太郎の新・座頭市シリーズを観る機会があった。

原作者が「新選組三部作」の子母澤寛であり、また赤松小三郎と同じ上田藩の侍達も登場したので、記録しておく。

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「座頭」とは江戸時代の「盲人」身分を表すが、盲人の中でも「検校」・「別当」・「勾当」の次に位置する。

幕末からみでみると名高い盲人の一人が、勝海舟の曽祖父の銀一。

貧農の家に生まれたが、江戸へ出て盲人に許されていた高利貸しで成功し巨万の富を得て、朝廷より盲官の最高位検校を買官し「米山検校」を名乗る。

また、『千鳥の曲』の作曲者の吉沢検校が幕末の音楽家としては名高い。地歌三味線、箏曲、胡弓、平家琵琶演奏家として活躍した。

子母澤寛の祖父は、幕府御家人彰義隊に参加し、箱館戦争にも行く。後に、石狩の漁村・厚田で漁場を持つ網元となり村の顔役となったらしい。御家人くずれのやくざ風な人だったとのこと。

だからと言って子母澤寛が侠客・やくざに興味を持ったのではないと思うが、 「座頭市」が生まれたのは、Wikipedia座頭市」 「飯岡助五郎」によると以下の通り。

子母澤寛が1948年に雑誌「小説と読物」へ連載した掌編連作 『ふところ手帖』の1篇 『座頭市物語』が原作。 江戸時代に活躍した房総地方の侠客である飯岡助五郎について取材するため千葉県佐原市へ訪れた際に、土地の古老から飯岡にまつわる話の一つとして盲目の侠客座頭の市の話を聞き、僅かに語り継がれていた話を基に記した。

この座頭市は飯岡助五郎一家に草鞋を脱いでいた客人であると、子母澤は文芸春秋1966年9月号掲載の『真説座頭市』で語っている。土地の古老が語った「市というちょっと変わった風来坊」の話が座頭市に発展したわけだが、その古老の話に登場する座頭市は、飲酒を禁じた助五郎の方針に耐えかねた子分たちが苛立って喧嘩を始めると仲裁に入ったり、見えない目で枡を切ってみせたりはしていたが、映画に登場するような居合抜きの達人でもなければ、人を斬ったりしたこともなかったという。なお、子母澤は、座頭市が助五郎一家を去った理由を、「助五郎が卑怯な手で笹川繁蔵を殺そうとしていたことを知ったからだ」と語っている。

但し、勝新太郎主演の座頭市シリーズは原作者が子母澤寛と表示はされるが、原作とは大きく離れており、別物と考えたほうがよいらしい。

勝新座頭市は、TVの時代劇ドラマに多い勧善懲悪という枠ではなかな括れないのが特徴で、主人公の「座頭の市」は、人間性豊かな無骨で泥臭いアウトローとして描かれる。

ときには、女郎の妹を助けに行こうとする善人の武士を斬ってしまうことすらある。

このドラマの見どころは、人間性あふれた主人公と、登場人物の感情や人間の業などの描き方なのだろう。

フジTVで現在放映中の新・座頭市シリーズは1976年頃の作品で、昨日放映の題名は「雨の女郎花」。

内容は、

夫婦約束をした旅人の帰りをジーと待っている宿場女と、上田藩の密書を運ぶ侍をめぐる話。

数年前に言い交した旅人は実はこの侍であるが、密書を信州上田に運ぶため旅の途中の宿場に再びやって来た。

しかし侍は女と約束した後で出世のため上司の世話で妻を娶っていて、その妻を連れて旅をしている。

こんな状況の宿場に、あの座頭市がやって来る。

雨が降り川止めとなったため、宿場女のいる旅籠に宿をとって食事の世話を受ける。

この時、女が市に、同僚の女が口約束した旅人の帰りを迎えに船が着くたびに船着き場に行く、馬鹿だねという話をする。

自分も同じ境遇とは、この段階ではおくびにも出さない。

しかし、旅人との約束はあてにならないと知りつつも、心の奥底では微かな期待をまだ持っていて完全にはあきらめきれていないことが、筋の進行の中で明らかになる。

宿場のチンピラがこの女に好意を寄せているが、女から袖にされ盲目の市の方がずーと人が良いと言われ嫉妬する。

川止めの間はあんまで稼ごうと考えているところに、初めての長旅で疲労がたまった妻のために、侍が座頭市にあんまを頼んでくる。

チンピラは、侍夫婦のいる離れから出てきた座頭市を嫉妬から襲うが、その時に侍の顔を見て気づく。

女と夫婦の約束した侍を見知っていたチンピラは、女に侍の来宿を教える。

女は侍の心を確かめに侍夫婦のいる離れにお茶を持って行くが、そこで初めて妻がいて約束が反古にされたことを知る。

川止めが解ける日に、密書を奪うため侍を追って上田藩の侍が5~6人やってくる。

宿場を支配し宿泊客を掌握しているやくざの親分に、侍夫婦の居場所を教えてもらう。

侍は、追っ手とやくざに襲われるが多勢に無勢のため逃げ回り、女を探して密書を預ってくれと懇願する。

女は侍の違約をなじるが最終的に密書を預かる。

侍は捕えられ、密書の在り処を吐けと拷問されるが、口を割らない。

女を好いているチンピラは、密書を持っているのは侍と知り合いの女しかいないと見当を付け、女に、密書がないと侍夫婦が殺されてしまうと、侍夫婦の囚われの場所を教える。

女は密書を持って、侍夫婦の囚われの場所へ行く。そこには、密書を狙う侍たちと、やくざの一団が待ち構えている。

そこに、チンピラと女の会話を聞いていた座頭市が、女のすぐ後から現れる。

あとは、毎度おなじみの盲目の市が驚異的な刀捌きで、女を好いているチンピラだけを残して敵を倒していく。

市は静かに去り、侍夫婦は密書を手に入れる。

女は宿場で、今まで通り、客に声をかけているところで、余韻を残してドラマは終わる。

来週放映のシリーズにも、上田藩の内紛の場面があるらしい。今から楽しみだ。

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