「好ましからざる人物」
ペルソナ・ノン・グラータ Persona non grata。
これは外交用語なのだけれど、
9月8日から3日間行われた米熊・慎蔵・龍馬会による京都歴史ツアーの中でも、感じたことだ。
コンピュータの世界ではもう45年ほど前に流行ったが、バーチャルというコンピュータ用語がある。
当時は大型の汎用コンピュータが相当高価なため、一台の物理的なコンピュータを、あたかも複数台のコンピュータがあるかのように扱うOS(オペレーティング・システム)に名付けられた形容詞だった。
今では仮想世界、仮想現実とも訳される。
「実際には存在しないが、あたかも存在するかのようにあつかう」 こと。
これの対義語は、トランスペアレント。
「実際には存在するのだけれど、あたかも存在しないかのように見做す」こと。
実際には、バーチャルの対義語はリアルとすることが多い。
こんなことを思い浮かべたのは、今回の京都歴史ツアーの参加者の中に、料亭・幾松を訪れて幕末の建物内部を見れてよかったという人にお目にもかかり、
また、ツアーで伏見の寺田屋を訪問したからでもあった。
今回の歴史ツアーの目玉は、
坂本龍馬と三吉慎蔵が襲われ、辛くも逃げることができた寺田屋から、材木納屋を経て、薩摩藩伏見屋敷までの逃走ルートを歩くことだった。
そのため、まず寺田屋を訪問したのだが、寺田屋側の対応から、上記の言葉をすぐに思い出したのだった。
寺田屋は、鳥羽伏見の戦いで伏見の町が戦火に遭ったときに焼失している。
その後、明治38年になってから寺田伊助が、その辺りにあった建物を利用し旅館として再開した。
この建物をいつ誰が何の目的で建てたのは分かっていない。
寺田伊助が購入した土地建物が、現在の寺田屋に繋がっている。
ところが、幕末時の建物ではないものを、現在でも幕末の建物そのものとして観光案内している。
そういう意味では、今の寺田屋はバーチャルと云っていいのだろう。
その寺田屋に、今回訪れたのが、坂本龍馬の兄・権平と三吉慎蔵のそれぞれの末裔たち。
ま、いってみれば、嘘偽りのないリアルな人物たちだ。
ところが、入り口受付けにて来意を告げたが、よくおいでになられました、という雰囲気ではない。
寺田屋内部の観光ガイドもむっつりし知らん顔をしっぱなしなのだ
いわば、「好ましからざる人物」 扱いなのだ。
たしかに、バーチャルの世界に、リアルな人物の登場は、迷惑な話だ。
これからは、バーチャルな場所では トランスペアレントに史跡?巡りをしようかと想った次第。
これが、今回のツアーでお酒のつまみとなった、一つのこぼれ話。
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絵は三吉慎蔵と坂本龍馬です
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