先週の「史書を訪ねて」で、取り上げられていたのは『復古記』
『復古記』は慶應3年(1867)の大政奉還から戊辰戦争最後の箱館戦争終結までを扱う。各家の家記の抜粋などから同じ出来事を多角的に記述してはいる。
僕にとって興味深いのは、東叡山戦記と蝦夷戦記。
東叡山戦記では彰義隊側の『斃休録』も採用し、蝦夷戦記では旧幕府側の小杉雅之進の『麦叢録』に負うところも多い。
東叡山戦記のなかで因州の池田輝知家記には、
御徒町ヨリ進撃ニ及候相模守人数、黒門前右手市店ノ階上ニ駆登リ、総隙ヨリ山内ノ賊ヲ狙撃シ、黒門内ニテ白旗ヲ挟ミ指揮ヲナス賊長ヲ斃シ、続テ数人を弾殺ス
との記述もある。
この記事は、僕にとっては重要だ。
高祖父河島由路が黒門口で被弾しその晩に亡くなったのは、湯島天神方面からの銃撃によると一緒に彰義隊に参加した長男由之の言が残っているので、雁鍋からの銃撃によるのではなく、松源からか他の部隊から銃撃によると思っていたのだけれど、調査範囲を広げなければと思った、記述だった。
蝦夷戦記で興味深いのは、
〇麦叢録、旧幕府小杉直道所著、として随所の戦闘場面で引用されていること。直道は雅之進の諱。
ところで、
明治元年12月15日では、賊、既ニ蝦夷地ヲ略取ス、とあり全島平定を祝し人事を決めたことが記されている。
小杉某(政之進)ヲ江差奉行に・・選任シ、と続くが短い記述に小さな間違いが二つもあるのが気にはなる。
『復古記』は、あくまでも新政府側の編纂の史書であり、旧幕府側は賊、賊徒として記述され、旧幕府側の個人名での記述はまことに少ない。旧幕側の一次史料と合わせて読む方がよいのだろう。
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