神戸港で、海王丸の出航を見てきた。
海王丸が接岸している第一突堤に行く前に、近くでまず腹ごしらえをした。
この店は、銀行(スタンダード・チャーターズ・バンク)の建物を利用した洋食屋さん。大理石の金庫の中が待合室になっている。
神戸には明治・大正時代の建物を再利用した施設が多い。
神戸市立博物館も、慶応3年12月7日の開港によって設けられた外国人居留地の13番館跡に建てられた横浜正金銀行の建物を利用している。
第一突堤への途中で、一大共有の海局(挙国一致の日本海軍)を実現しようとした、海舟の夢である神戸海軍操練所の跡を眺め、
文久三年に将軍家茂に、「この地は港に最適です」と進言した網屋吉兵衛の顕彰碑を読む。
突堤にはおよそ200人程の人が見送りに集まっていた。
実習生の家族、かって海王丸に乗った人、帆船・船好きの方、社会見学の幼稚園児、熱演する音楽隊、報道関係者、航海訓練所の責任者、神戸港湾当局などなど、様々な人がいる。
間もなく、船尾で出航式が始まった。
今回のクルーには女性の三等航海士が乗っている。
航海訓練所の方に確認すると、...航海訓練所所属の航海士は約一割が女性とのことで、今回の海員を目指す実習生の比率もほぼ同じだという。
一昨年僕が乗った時も、実習生92名中、女性は10人ほどいたが、訓練は全く男性と同じ扱いで、作業内容に男女の区別はなかった。海の世界でははやくから男女平等がまかり通っている。
いよいよ出航の準備のためタグボートが横付けし、ロープがはずされる。
海王丸は14時過ぎに登檣礼でもって桟橋をはなれた。
登檣礼は前回神戸で拝見して以来だが、いつ見ても感動する。
次席一等航海士の号令にしたがって、航海科の実習生全員が三本のマストに上り、各六本ある帆桁に渡って、位置につく。
そして、船首のバウスプリット(斜めマスト)の先にいる実習生の号令で、帽子を脱ぎ、帽子を振って「ごきげんよう」を三回繰り返す。
訓練の証でもあり、別れの場でもあり、これからの航海の門出でもあり、とても感動的な場面だ。実習生の号令は、長さ100mの海王丸の端まで声が届かなければいけない。
航海中でも、船首で見張りをしている当直実習生は何か発見した場合は、船尾にいる当直航海士などに声でもって知らせるため、声はそもそも大きく張りがないと帆船では務まらない。
海王丸は、今年度は何回か神戸にやってきた。
検査入渠が神戸近辺だったこともあり、その前後の寄港を加えると、計六回を数える。そして今回が今年度最後の寄港だった。
11/24に小名浜に入港したあとの今年度の予定は、
11/28小名浜発-12/7東京着
1/12東京発-2/8ホノルル着、2/14ホノルル発-3/8東京着。
ハワイ往復の遠洋航海で、大方の実習生は船での実習科目は終了する。
しかし一般人である僕は研修生として何度でもチャンスはある。
右腕の調子がよくないため今年度のハワイ航海は断念したが、来年度は体調を整えてチャレンジしたい思っている。
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