一昨日大阪龍馬会の夏季講座、「千葉佐那をめぐって」を拝聴してきた。
講演者は京都国立博物館の宮川禎一氏で、昨年一年間の研究のあとをたどりながら、そこで得た成果についての発表。
詳細な内容は、残念ながら読んではいなかったが、昨年の『歴史読本』に、「山国隊と千葉重太郎」、「千葉佐那の面影」、「目撃された千葉佐那」、「千葉貞女画像の真実」などの題で、何回も掲載されていたらしい。
千葉佐那について実に様々な史料を駆使しての講演であり、内容は中々面白い。
佐那は女性のため本人を直接に記述した当時の史料は少ないとみて、兄重太郎などを記載した周辺史料を中心に調べておられる。
あまり知られていない山国隊とその隊日誌に描かれた千葉重太郎、千葉道場の衰退と千葉撃剣会の興業、京都演武場開設と登場人物(驚くべきことに重太郎と龍馬暗殺者らしき人が一緒に働いている)、伊達宗城の御手留日記(藍山公記)に描かれた千葉佐那、おまけとして明治期の佐那とお龍の戦い、等など。
おそらく歴史読本には書いていないと思われる最近の感想が多々あった。
氏の講演を拝聴するのは確か3回目だが、小生が一番関心があるのは、講演テーマもあるが氏の研究姿勢であり、学ぶべき点が非常に多い。
史料の読み方使い方、史料からの発想、関連先への調査方法、歴史と歴史以外の区分け、人間の本質を洞察しそこからの見方、等など。
今回の講演は、「歴史」をどうみるか、が一貫した別テーマでもある。
もちろん人物史の寄せ集めではない。時代史とでも呼ぶべきなのかどうか。
実はなかなか難しい課題を孕んでいる。
E・Hカーは、「歴史」とは歴史家と事実との相互作用の間断のない過程であり、現在と過去との間の対話であるとした。
事実の選択と解釈は人である歴史家がするのであれば、科学としての歴史はどう成り立つのか。
あるいはどう成り立たせるのか。
『歴史とは何か』を読み直し考えてみようと、思わせる講演会であった。
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絵は三吉慎蔵と坂本龍馬です
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