関東訪問その1 武士道展

最近は年末も迫り忘年会で忙しい。 先日12/10からは2泊3日で関東を訪ねて、忘年会出席も兼ね展示会に出かけ講演会を拝聴してきた。 日程は以下の通り。 12/10 横須賀「日露戦争に見る武士道」展と、学生時代の忘年会 12/11 高崎「小栗上野介展」と、海王丸デッキパーティ 12/12 東京「千葉さな」講演会と、幕末趣味人の忘年会 12/10 朝、車窓からみる冬の富士には雲が懸っていた。今年は6回、富士山を見る機会があった。来年はもっと増えそうだ。
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横須賀では、記念艦「三笠」で開催されている特別展を拝見してきた。 横須賀訪問は今年3回目になり、2回は遣米使節150周年関係。来年は咸臨丸まつりに参加するつもり。 今回の特別展「日露戦争に見る武士道」は、新渡戸稲造乃木希典に焦点を当てた展示で、なかなか中味は濃いものがある。
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展示は、「武士道とはなにか」が中心テーマで、概ね以下の解説がなされていた。記録のため記しておく。 武士は、鎌倉時代以後、国を支配し政治を行ってきた。国をまとめ、侵略を防ぎ、生活を豊かにするためには民衆の心を掴まなければならない。人の上に立つ武士には、武術に励むだけではなく、人格を磨き、教養を身につけることが求められ、それが武士の掟(守らなければならない道徳原理の掟)として、代々伝えられてきた。 武人階級の身分に伴う義務(ノーブレス・オブリージェ)の実践、これが武士道であり、民衆にも大きな影響を与えた。 日露戦争が始まる5年前の明治32年新渡戸稲造は、精神的、道徳的な支えになってきた武士道を体系的にまとめ、英書「武士道-日本のたましい」を米国で出版する。 その本の中で、飛鳥時代に伝来した仏教や我が国固有の神道の精神、中国のの哲学者孔子やその弟子孟子の教えなどが武士道の源であることを明らかにし、武士の掟として義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義などについて、内外の多くの事例と比較して詳しく解説する。 今回の展示では、「義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義」について、その内容と体現した人物を例示している。 「義」 武士の掟の中で、最も厳しく守らなければならない教え。正しく判断すること、正しいことをすること。武士は「義」を一番大事にしたので、卑怯な行動や「義」に反する行為を嫌った。 義の体現者として、「義に生き、尊王の志士を支えた尼僧野村望東尼」と、「大義に生き、維新の礎となった開明の志士坂本龍馬」を挙げていた。 「勇」 義(正しいこと)を行動に移す心のこと。武士にとって、勇気があると言われることが最も誇らしいことであったので、子供のころから忍耐強くなるよう、小さいことに動揺しないように努力した。 勇の体現者としては、「明敏・剛勇、信念を貫いた幕臣小栗上野介忠順」 「仁」 愛、寛容(心が広いこと)、同情、憐憫(あわれみ)などを含んでおり、昔から最高の徳と言われている。天(神)が、人が人であるために与えた最も尊いもの。権力に「仁」が伴わなければ、国を治めることができない。 「礼」 礼儀正しいこと、作法が丁寧なことは日本人の素晴らしい徳性であり、それは他人に対する仁愛、自己に対する謙遜の現れ。単に言葉や動作だけでなく、「寛容さと思いやりの気持ちを持つ、相手を妬んだり自分を誇ったりしない、礼に反したことを行わない、自分の利を求めない、驕らない、おこったりしない、人を悪く思わない」などの心を持つこと。 「誠」 誠実な気持ちがない礼義は、芝居に過ぎない。武士には高い誠実さが求められ、武士が語った言葉「武士の一言」には重みがあり、証書がなくとも必ず実行された。 誠は、「至誠を貫き名を重んじた剛直な吉田松陰」 「名誉」 武士は生まれながらにして身分に伴う義務と特権を自覚し、「恥を知る」ことを最初に学んだ。「体面をよごすぞ」「恥ずかしくないか」などは、正しい判断・行動を促すための言葉であり、名誉心に敏感に響いた。名誉は人生の中で最も尊いものであり、武士が追い求める最高の目標が名誉であった。 「忠義」 目上の者に対する服従や忠誠は、あらゆる人々に必要な徳目だが、武士道では最も上の徳目として位置づけられいる。 仁、勇、忠義の体現者は、「忠義を貫いた智・仁・勇の名将楠正成」 徳目の中に、「信義」が入っていない。これは「義」や「誠」の中に含まれると考えてよいのだろうか。 戦艦三笠の活躍した日露戦争時代の武士道の発現者として、中央乃木会のバックアップもあり乃木希典に大きな場所が割かれ資料が展示されていた。 他に、武士道の例として、勇猛果敢な武人として鈴木貫太郎、沈着にして仁愛あふれる海運士官佐久間艇長、敵将兵を救助した仁・勇の工藤駆逐艦艦長、特殊潜航艇の勇士を海軍葬で葬送した豪州海軍について、パネルで説明をしていた。 現在の社会からみれば、武士の掟の中には受け入れられないものもあるが、徳目の殆どは今でも大切にしなければならないものといってよい。 新渡戸稲造は、武士道の将来について、「桜の花が散った後もその香りを残すように、武士道は、武士という階級がなくなってもその光は我々を照らし、人生を豊かにするであろう」と、述べる。 政界や社会の中で倫理観やモラルの欠如が多くみられ、向上が求められている今だからこそ、武士道を理解しその精神を学ぶことには意義深いものがある。その意味では、多くの人にぜひ見て貰いたい特別展である。 三笠の前にある東郷元帥銅像の頭上で、夕陽に映える飛行機雲
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