海王丸航海25日目 2010/04/30(金) 帆走最後に舵を任される

地球の実寸を測りながら航海し今日で25日目。本日サンフランシスコ入港の予定であったが、事務手続き上の問題で当初計画通り5/4の入港となる見込み。 その間、4日間公海上で漂白することになる。強風が近づいているため、高気圧の真ん中に入るべく、本日は陸から離れていく。帆走は明朝で終わり。
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                                天気 晴れ 前日正午からの(東京からの距離5202,残航261、平均9.33ノット)、 風向N/W、風力4、ヤード(帆桁)左舷開き、 天候晴れ、気温11.8、海水温度12.1、気圧1029.6、海面状態穏やか 船の位置 北緯36度40分、西経127度37分 時刻改正0分(累計-16時間00分) 0640 朝別科 本日、研修生は8-0当直のため、朝別科は免除される 0644 6時44分のモニター どんどん陸地から離れる。再び陸地発見をするとことになるのか
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0800 当直  小生の当直は以下のとおり 明朝で帆走は終わるため、今回が最後の当直となる。        0800-0900 リーサイド待機、ロープ引きが1時間ほどあり、かなり疲れた        0900-1000 ルックアウト        1000-1100 リーサイド待機        1100-1200 ウェザーホイル(風上側舵輪) 帆走最後の当直最後の1100ウェザーホイル当番では、クォーターマスターのご厚意で、50分ほど一人で舵を取らせていただいた。最後に非常に良い経験をした。       帆走が明朝終わるので今回で当直は終わる。 小生の当直当番は4/11のウェザーホイルで始まり4/30のウェザーホイルで終わった。 最後の最後で海王丸の舵取りを50分も任され、大満足の当直当番であった。。 残念ながら今回の舵取りは動画のみで写真がないため、以前の写真で代用する。右舷(写真左側)が風上
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ミズンマストの最上部にある小さな吹き流しで風向をみて、また帆への風の入り具合もみる
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左が舵角表示器、右が速度表示器 舵角表示器は、舵が右舷あるいは左舷の何度になっているかを表示する
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コンパスで今現在の船の進路が分かる。従って本来の進路とどれだけずれているかが分かる
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帆船は、最適の針路を取るように帆への風の入り具合を見ながら操舵する。 海王丸の操舵も船尾で行う。写真のように、帆走中は、船尾甲板の風上側に当直士官が立ち、クォーターマスター(Q/M、操舵手)1名がウェザーホイル側につく。舵輪(ステアリングホイール)の両脇にひとりずつ当番がつき、Q/Mは、ウェザーホイル当番が舵を取るのを見守り指導をする。 Q/Mは、船を避けたり狭い場所を通る時など重要な時だけ舵を取り、それ以外は当番の実習生に任すが、すべての当直当番と同じ様に1時間で交替する。 当直4時間のうち、1/4の1時間舵を取るので、クォーター(1/4)マスターと呼ばれている。 帆走中は、舵輪の当番は普通は2名で行い、海が荒れて舵が重いときは後ろ側の舵輪にも配置し4名で行う場合もある。また、研修生が当番に加わるときは、通常でも4名で舵輪を回す。 舵は、舵輪の1回転で1度の変更となる。 いわゆる「ハード・ウエザー!(面舵いっぱい!)」、「ハード・リー!(取り舵いっぱい!)」は、最大舵角が35度で、その時は舵輪を各々35回も回さねばならない。 舵取りは、ウェザーホイル当番が舵切りを判断し、たとえばリー側(風下)に舵を2度切る時は「リー2枚」と号礼し、リーホイル当番が「リー2枚」と復唱した後、ウェザーホイル当番とリーホイル当番とが共同で舵輪をリー側に2回転させる。 舵輪の柄の先についている真鍮が回すときの目印となる。 舵輪の回転で、油圧(厳密には油ではない専用液体)シリンダー内のピストンを動かし、この圧力をパイプにより船尾に導き舵を操作している。従って舵輪を回してから舵が動くまでに極めて僅かだが時間差はある。 研修生には操船指揮などなかなか取らせてはくれない。 本日は最後の帆走であり舵を取る最後のチャンスだった。 小生の当番のとき、以前船内での講演を聞きに来られたQ/Mの方から小生に舵を取ってみないかと声をかけてきた。 そのおかげで、めったにできない経験を50分に渡ってさせてもらった。 言葉では簡単だが実際初めてやってみると中々難しい。 ウェザーホイルの操舵当番は、舵を取るとき様々な点に注意して、舵を切る判断を行う。 ミズンマスト(一番後ろの横帆のマスト)の最上帆ロイヤルへの風の入り具合、帆の前に風が行って帆がたるんで来てないか注意し、吹き流しやジガーマストの上にある風見から風向を知り、同時に目の前にあるコンパスで船の針路の変化を見ながら、どちら側にどれだけ舵を回して進路を保つか判断して、風下側の操舵当番に号令をかけ、舵輪を一緒に回して操船する。           一人で判断し海王丸を操船する機会を貰い、実際そうした。     帆走の最後の最後に得難い経験の機会を頂き、Q/Mの指示を得ることなく、自らの判断で50分間無事操船し終えたことは、今回の航海の記念にもなり感謝している。 1300 大掃除 1500 巡回 1711  17時11分のモニター
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2010 グリーンフラッシュ現象の撮影失敗 グリーンフラッシュがありそうなので甲板へ行き更に船橋へ。 本船はサンフランシスコ入港が5/3なのでそれまで公海上の高気圧に向かって西へ航海している。本来あり得ない方向だが、船首が西へ向かっている中、太陽が西へ沈むのを撮る。 残念ながら、水平線上には雲があり今回もグリーンフラッシングは見られなかった。 日没は2021。 航海訓練所のHPの載せるため、海王丸の航海日誌コメントを作成する。50文字の制限がある。  「地球の実寸を測りながら航海し、その大きさに感動した。   人は航海毎に成長する。   皆どのくらいの大きさになっただろうか。」 船長の本日のメッセージは以下の通り 昨日のショッキングな出来事は遠い昔の出来事のように、新たな展開に向けて姿勢を立て直した。 昨夜一等航海士が代理店宛てに行った交渉の結果、昼ごろに「5/3 17時パイロット乗船許可」との連絡が入った。 そのことについて船内主管者で協議をした結果、そのオファーを受け入れること、その為には明日16時に機走を開始すること、日課等の調整については問題ないことを確認した。 また、穏やかな海域に入ったならば帆を解いて、Heave toへ移行して、ドリフティングを開始する。 本日の航海概要と気象概況 <気象概況> ①明朝5時には随分と高気圧の中心に近づいている。また、夕方にはさらに状況は良くなる傾向。 ②しかしながら、このまま順調に帆走距離が伸びると、サンフランシスコへの距離も長くなるといった相反事象となる。  よって、穏やかな海域に到着したならば直ちに帆走当直を解いて、heave toへ移行する(目途として明朝6時頃) ③以降の天気予想図をみると、サンフランシスコ沖では継続したGALE WARNING が発令されている。 サンフランシスコへアプローチする際には、北風の強風及びそれに伴う波浪を覚悟する必要がある。 <航海概要> ①Heave toとは帆走状態で船足を止めてその場に留まる操船方法。基本的には風下へ押し流されつつ姿勢が制御される。しかしながら、うねりが大きいときには船体は横倒しになり、大きな船体傾斜を誘発することになる。 従って、現在は穏やかな海域(西経130度よりも西側海域が穏やかであると理解している)へ向けて帆走航海を続けている。太平洋の真ん中でheave toを行うので、ゆったりとした周期のローリングに注意。 ②5/3 17時パイロット乗船地点で機走を開始する。ある程度の時間的余裕を持っての航海になるが、荒天航海が予想される。 「 人気blogランキング 」  に参加しました。よろしければ押してくださいませ。
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