幕末とは関係ないが、記録にとどめて置くため記す。
我が家にはシルバーのトイプードルが二人いる。二人は叔母と姪の関係。
家にやって来てから14~5年になり、今では家族同然だ。
二人とも、夜は小生と一緒に、同じ布団で川の字になって寝るのを日課にしている。
4/7から帆船海王丸でサンフランシスコに向け30日間の航海をした時に、衛星電話代が高いこともあり、
10日毎に小生から家にご機嫌伺いの電話を入れることに決めていた。
4/16に連絡を取ると、その朝、一人(姪の方)が小生の蒲団を真っ赤に染め、大量に喀血したという。
小生によくなついている甘ったれが、不在からくるストレスで胃潰瘍になったらしい。
次の10日後の連絡までは恐らく生きていないのではと覚悟した。
4/25に連絡を取ると、生きていた!!
口内に血が溜まり、乾いてできた血塊も息ができるように取り除かれていた。
獣医には感謝感謝である。
帰国すると、玄関で、以前の元気さは若干薄れてはいるが、いつものように出迎えてくれた。
動物にも人間と変わらない感情があり、心が傷つく事を改めて教えてもらった。
別の一人(叔母)は、航海出発前の2月初めに、癌が発症しているのが判明した。
進行が早いため、帰国する5月中旬にまではもたないだろうと思い、密かにお別れを済ませ乗船した。
ところがこちらも、帰国するまで元気でいてくれた。
ただ、病が進み、帰国して一ヶ月が過ぎた6/25(金)16:00頃に眠りについた。
以下は、会津旅行中に認めた覚書。
「あいつが死んで1週間になる。
代々アメリカチャンピオンの家系の娘だった。
その矜持からだろうか、最後の最後までしっかりしていた。
何があっても自分を見失うことがなかった。
これまで通り、まるで人間みたいに自己主張を貫ぬいた。
2・3年前に白内障を患った。だんだん靄がかかり、景色が見えにくくなり、最後は明りだけが頼りになった。
でも家の中にはどこに何があるか、分かっていた。水飲み場も、トイレの場所も、自分の好きなソファの上も、寝る場所も、障害物をかわし自在に行くことができた。
その意味では最後まで手がかからなかった。
今年2月に下あごに癌が見つかった。だんだんと肉も骨も腐り壊死していく病にかかった。
獣医は治らないと宣言した。食べなくなったら最後と思ってくださいと言った。
痛み止めの薬を毎日飲ますことにした。
日にちが過ぎるにしたがって食事に時間がかかるようになり、6/25(金)昼には出血も止まらなくなった。
下あごはすでに1/3が欠けている。
痛くないはずがないが、何も訴えたことがない。
でももう血が止まらない。これ以上はあまりにも可哀そうだ。決断の時。
15:30に獣医に連れて行った。自動車が嫌いで乗るといつも騒ぐのだが、今回は何故か嫌がらず全くおとなしい。
獣医院でも怖がることもなく台にのった。まず睡眠薬。間もなくいびきをかいて安々と眠った。
足の毛をカットし注射。獣医は心音を聞いている。
徐々に静かになった。痛まず安らかな死だった。目からは二筋、涙が流れていた。
小生も妻もあいつも、これでよかったのだ。
その日連れ帰って通夜。
姪が訝しがり棺桶の周りを嗅ぎまわる。手で覆いを開けようとする。
蓋をあけ、最後のお別れをさせる。キスをしていた。
翌々日動物霊園に葬った。」